日本の皆様へ
明けましておめでとうございます。
皆様、お健やかに新年をお迎えのことと思います。
私は昨年末にミュージック・シェアリングの活動の一つ「ICEP2009モンゴル」の活動で訪れていたモンゴルから帰国し、フィラデルフィアで新年を迎えました。
さて、まずは少しだけモンゴルの報告をしたいと思います。私とオーディションで選ばれた若手演奏家3名とスタッフがモンゴルを訪れたのは12月18日。極寒のウランバートルは体感気温マイナス70度の世界でしたが、乾燥しているせいか、気温がマイナスの世界では、数値からイメージするほどの寒さを感じないものなのですね。
モンゴルでは、これまで過去のICEPで訪れたベトナム、カンボジア、インドネシ
アでの活動と同様に、幼稚園、小学校や学校、障害者施設、病院などを訪問しました。一部の訪問先では、現地の音楽学校の生徒のカルテットもICEPの活動に参加し、また文化交流の場では、ホーミー(低い声と甲高い声の2つの音を同時に発声するモンゴルの伝統的な歌唱法)の演奏を聴かせていただいたり、国立馬頭琴交響楽団のメンバーの方々から楽団に入るための修行プロセスについてなど、興味深い話を伺ったりしてまいりました。馬頭琴はユネスコの世界無形遺産に登録されており、日本の児童文学で、「スーホの白い馬」に出てくる楽器です。現地での勉強会では、必修教科である英語教育を通じてのモンゴルの教養問題や課題、またシステムについてのディスカッション、モンゴル文化の上における教育の意味付けと立場、などについて専門家の方々からレクチャーいただきました。
写真:松野木京子モンゴルの子どもたちはまさに社会の誇りであり、「夢」「希望」「発展」「栄光」のカギを握っています。とはいえ、1990年代初めまでは旧ソビエト連邦の衛星国であ
り、民主主義の歴史もまだ浅く、失業率、アルコールなどの依存症が急増、一時は日本などの先進国より高いとされていた識字率も低下しています。子どもを取り巻く環境も厳しくなりつつあるといった生ぬるいものではなく、マンホールチルドレンから成長したマンホールアダルトやマンホールファミリー、子どもの人身売買問題、社会から隔離された障害児状況、など深刻な問題を抱えています。
今回も多くの個人の方々や企業からのご協力をいただき、ICEPが実現できたことに心から感謝申し上げます。活動を通じ、私自身もたくさんのことを学ぶことができました。詳しいことは6月に東京と大阪で報告会コンサートを行います。また、私たちの経験を「学校訪問コンサート」などを通じて、日本の子どもたちにも伝えていけることは、大変有意義なことだと感じています。
本年も皆様にとって幸多き一年となりますように。
1月3日五嶋みどり